●第2回:「純喫茶」

それは純情なものたちが集まる喫茶なのか、それとも純粋喫茶なのかまたは、全くことなる意味合いがあるのか・・・・
今回はそんな街でたまにみかける「純喫茶」のお話です。

どんな街を歩いていても、ふと路地を覗いてみたりするとひっそりと営業している喫茶店があります。
「純喫茶 ○○」の看板がぼんやりと光っていて・・・独特なオーラを放ってます。この「純喫茶」という言葉、店の空気、客の雰囲気、どれをとっても「純」というよりはそこはかとなくアヤしい気配が漂っている気がしませんか?
低いテーブル、不必要に沈むソファーチェア、微妙な高さで作られているテーブル間の仕切り、同じテーブルの相手の顔が見える程度の照明、一つとして同じ種類のないカップとソーサー。
店内も昼なのに暗く、他の客の会話もひそひそ声で、うかつに言葉を発したり、何気ない動作をしたりすると店の奥からガタイのいい黒スーツの人たちが出てきてしまったり、店の奥へ案内されて「どのような武器がご入用ですか?」などと聞かれてしまったり、その後様々な抗争にまきこまれてい・・・くことはまずないでしょうが、何となくどきどきしますね。

雰囲気は少しアヤしいところもある純喫茶。
純喫茶というネーミング自体はかなり昔から使われているようですが、一般的には「珈琲、紅茶、ソフトドリンク以外出さない(アルコールを出さない)喫茶店」という意味で使われているようです。食べ物は軽食(トースト、サラダ等)のみしかありません。
使われ始めた由来は「珈琲や紅茶専門のお店」ということを強調するために「純」を使い始めた説と、 戦時中珈琲が敵国の飲み物として禁止されていたころ出回り始めた「代用珈琲」ではなく100%純粋な珈琲をだしていることを強調するために使い始めた説の2通りあるようです。
どちらの説も他とは違う専門性を打ち出そうとしてつけられたネーミングのはずなのですが・・・
今では独特の雰囲気を醸しだすのに一役も二役もかってしまえるほどのイメージが定着してしまいました。

最近どこの街でもみかけるようになった外国資本のカフェや、それに類似するようなオープンテラス、明るい店内、豊富なメニューを取り揃えたカフェが流行している現在も、廃れることなく(細々とかもしれませんが)続いている「純喫茶」。
たまには「純」で不思議な雰囲気の「純喫茶」に足を運んでみるのも気分転換にはもってこいかも?

リポート:とそとそ2号

●こんなところをどうぞ

1:極私的分類学−1 喫茶店分類考
http://rhizome.pekori.to/essay/990607.html

2:コラム「アンニュイ純喫茶。」
http://allabout.co.jp/career/marketing/nlbn/NL000279/vl_10.htm

3:スカーレットも飲んだ「代用コーヒー」
http://www.ucc.co.jp/jin/2001_08/column.html

4:「コーヒー雑学集」
http://www.cocacola.co.jp/products/emblem/zatu_qa.html