●第4章 トソトソ・オリジナル・フレグランス

ちょっと待ったぁ!文章中に左のアイコンがあったらクリックしてください。 このプロジェクトに巻き込まれたマニクラ部長の心の叫びが聞こえます。

10月中旬、下北沢。
2号と5号、そしてこの頃から問答無用で巻き込まれはじめたマニクラ部長の3人は オリジナルの香水を調香してくれるお店に来ていた。
⇒アール・エ・パルファン




店員さんに新郎新婦のイメージと、結婚式でプレゼントするということを伝え まずはベースとなる香りを決めるところからスタート。

はじめは店員さんの話を聞きながら初めて体験する調香を楽しむことができていたが、 数十種類の香りや、それらの組み合わせのにおいを嗅ぎ比べているうちに 何がなんだかわからなくなってきてしまう。

一般的に、香水は数種類嗅ぐと鼻が麻痺して、 正確な香りがわからなくなってしまうのだそうだ。
それをリセットするのにもっとも最適とされているのが“コーヒー豆の香り”。
コーヒーには消臭というか匂いを打ち消す効果があるため、嗅覚もリセットされるらしい。
大抵のお店に置いてあるので、香水選びで嗅覚がおかしくなったらお試しあれ。
ちなみに、革や匂いの強い素材以外のものであれば 自分の服の匂いでもリセットできる場合もあるとか。
しかし何十種類も嗅いでいると、コーヒー豆でもどうしようもなくなる。
そうこうしているうちにあからさまに様子がおかしくなってきている5号。

「…ちょ、ちょっと外で一服ぅ」

悪戦苦闘の末、なんとか新婦の香りを決めることができたものの、 2時間以上かけたにもかかわらずこの時点で、3人とも嗅覚はもとより体力も限界に近かった。
しかし、新郎にもプレゼントするため、新婦のと喧嘩するような香りでは何かとマズい。
異なる香りだけれど、無理なく共存できるほうがいい。手を抜くわけにはいかないのだ。
うひー。

で考え出されたのが、同じ香りの組み合わせで、配合の割合を変える、という方法。
たったそれだけのことで、随分違った印象に。これで共存させることができる!
長時間付き合っていただいている店員さんに感謝しつつ すでに使い物にならなくなりそうな嗅覚にコーヒーで鞭打ちつつ 新郎用の香りの配合をなんとか決定した。

時間にして3時間と少し。

ちょっと待ったぁ! この日は、ボトルも探せればと思ったのだが、結局体力が持たず断念。

「今のところそれほどお金はかかってないけど、想像以上に大変だぞ、こりゃ!」
といまさらながら気がついてしまったが、おそいってぇーの、とそとそ隊。今後が不安じゃ。