●第8章 最終調整。式は迫る。

11月3週目、土曜日。 2号と5号は式場である大國魂神社にいた。
 ⇒http://www.ookunitamajinja.or.jp/

披露宴会場の視察のためだ。
 「プロジェクターが2基か。プレイヤーさえ持ち込めばなんとかなりそう。」
 「なに?バイク持ち込みOK?タイヤのよごれ?あ、ちゃんと拭きますから。」
 「式場は2Fだけど大丈夫?エレベーターがある?よかった〜」
 「金屏風の裏に隠してここから出せばいいよね。ふむふむ」
最悪の事態を想定してはいたものの、諸問題を実にあっけなくクリアできた事に二人の 顔がほころぶ。
(ていうかもっと前に下調べしとけよという話がないでもないが…ま、それはさておき)

「設備もばっちり整ってるし、ここは一つかっちょいい映像つくんなきゃ?ね?だってせっかくあんな にでっかいプロジェクターもあるんだしさ〜。2号どのその辺はプロなんだしさー、サクっと作ってよ。 何?忙しい?無理?そこをなんとか…さ。素材は用意するから、頼むよぉボソっ…」
てなかんじで5号が強引にねじ込み、しかたなく2号は了承するいつもの構図。
いやぁ2号はホント、いざというとき便りもとい、頼りになる男だ。(よいしょ、っと)

そして2号が泣きながら、寝ずに映像を作っている頃1号はおおきな金ピカのカギを作り、 3号は式場や披露宴の司会者とのコンタクト&雑用、 5号は全体の進行と脚本そして仕掛けを考えていた。
メンバーの顔にもぅ迷いはない。ただ突き進むのみだ!

12月初週。
なにやら印刷された、大量の紙の束を持って皆の前に現れた5号。
 「ささ、3号これを切って、線のところを山折りにするのじゃ」
 「1号はこれをパネル貼りして裏に足付けて自立するよにしてちょ。」
内職のようなシゴトを二人にさせながら、5号はさらに続ける。
 「くくくっ、バッチリですがな。もぅ完璧!パーフェクト!」
改めていうことでもないが完璧もパーフェクトも基本的には同じ意味だ。 どうやらそれほど素晴らしい原稿が書けたらしい。 なんと立ち位置まで書き込んであり、彼の頭の中では何度もシュミレーションが繰り返され、 すでに完全に出来上がっている様子。

バイクは、1号の代車ファンカーゴに載せて搬入することになった。これで天候も気にせず、 自走もせずにバイクを神社まで持ち込める。段取りも万全だ。当日1号が呑めなくなる ことことなんて、大した問題でもないでしょ。

「1号と3号には、当日がんばってもらうからね」
そう言って5号は、ニヤリとほくそえみ、原稿を2人に手渡す。
いよいよ来週に式は迫っていた。